先日、某古本屋に足を運んだところ、『カードキャプターさくら』の全巻セットを見つけてしまい、うっかり一万円ほど衝動買いを仕掛けた私です。
恐らく、同世代の方々はこの気持ちがお分かりになることでしょう・・・そう!『CCさくら』といえば、NHKで放送された2000年代を代表する女児向けアニメ。
明るくてちょっと天然な主人公があちこちに散らばったクロウカードを封印すべく、守護者ケルベロス(通称ケロちゃん)と魔力を使って戦っていく中で、様々な人と出会い、そして運命の人小狼と結ばれるという恋愛+魔法少女ジャンルの王道ストーリでありながら、毎回可愛い衣装に身を包みながらも懸命に戦う主人公さくらちゃん始め、さくらちゃんの親友で小学生にして百合っ子な知世ちゃん、ツンデレ小狼君、腐女子ほいほいなさくらちゃん兄&さくらちゃん憧れの雪兎さんカップルなどなど、いろんな意味で個性的なキャラクターで幅広い視聴者を魅了した(良い意味で)罪深い作品なのです。
何を隠そう私が腐ってしまったきっかけは『CCさくら』にありますから、まさに今、私がこの記事を書くに至った母のような存在でして、恐らく多くの20代オタクの皆さまも『CCさくら』をきっかけにこちらの世界へ足を踏み入れたことでしょう!
こほん・・・ちょっと興奮してしまいましたが、この『CCさくら』でもわかる通り、“魔法少女”はいつも女の子たちの心を鷲掴みにし、魅了してきてくれました。
ということで、今回はそんな数ある魔法少女漫画から、『魔法少女特殊戦あすか』を紹介いたします!
スポンサーリンク
今回とりあげる作品は?
今回は女の子の憧れ、魔法少女!
でも、普通の魔法少女とは何かが違うような…?
![]() |
深見 真,刻夜 セイゴ,田村 尚也 スクウェア・エニックス 2015-10-24
売り上げランキング : 2497
|
あらすじ
地冥界からやってきた魔物に侵略されつつあった人類社会で、ある時五人の少女たちが魔法の力を得られ、世界を救うために立ち上がりました。
そして、地冥王との最終戦に少女たちは勝利し、世界に平和が訪れたのです。
それから三年、当時の魔法少女たちの中心人物であったあすかは、ごく普通高校生としての生活を手に入れ、もう魔法少女にならないことを誓い、友人と心穏やかな時を過ごそうとしていました。
しかし、世間では、魔法少女たちはそれぞれ、国際犯罪や無差別テロ、内紛で戦うという新たな戦場に立たされてしまいます。
そして、その足音はあすかの元にも再び忍び寄ってきていて・・・
友人の救出のために再び魔法少女にならざるを得なくなってしまうあすか、世界中にはびこる思惑の中で今を懸命に生きようとする彼女はどんな運命をたどるのか!?
感想(内容編)
まず、ダーク調の表紙を開くと、数ページ導入がカラーになっていまして、そこに描かれている世界は、可愛い女の子が使い魔らしき小動物と、愛らしい装備に身をまとうごくごく普通のステレオタイプな魔法少女が現れています。
この時点では、正直私も全くもって期待をしていませんでした。
だがしかし!カラーページを読み終えて、次のページを開けば、そこにはなんと、四肢が千切れた死体の山・やま・ヤマ!!!!
あれ、これって魔法少女ものじゃないの?
なんで、戦闘機とキャタピラーが壊れてるの・・・腕千切れた軍人さんとか出てきたけど!?
しかも、阿蘇山が舞台!
と、いきなり魔法少女とはあまりにも程遠い世界が登場するわけですから、驚きますし、もしかして、印刷ミスってるんじゃないか!?って思ってしまいますよね??
『魔法少女 プリティ・ベル』でだってもう少し可愛らしかったよ・・・あれ、魔法少女がガチムチのおっさんだけど。
なんて思っていたら、魔法少女がやっと登場しました・・・良かった、よかった・・・みんな可愛い衣装を着てるし、なんか強気に合言葉とか唱えてるし、死屍累々の兵隊さんが転がってるけど、なんかちゃんと戦おうとしてるし。
・・・あれ?これ最終回っぽい雰囲気醸してるけど、一話だよね!?
そう!この漫画の面白いところは、普通なら最終回になるような戦闘を、のっけから書いてしまっていることだと思います!
いやぁ、読者さん置いてきぼりですよ!何が何だか分かりませぬぞ、薫殿状態です!!
この時点で、私はもうページをめくらずにはいられなくなりました、最初のページに表れたものたちが一体何なのかを判明させなければ、すっきりできない位飲み込まれてしまった訳です。
いやあ、この構成は作者先生の目の付け所が素晴らしいですね!
作中にも触れられていますが、「敵の親玉をやっつけた 普通の物語ならそれでハッピーエンドになる」ことが基本のこのジャンルにおいて、魔法少女に現実で起こっている社会事象を結びつけることで、「現実に「エンディング」はない」という展開を生み出してしまった訳ですから、もう大発明ですよ!
このような設定にすることで、少なくとも読者はここからの展開を誰もが予想できなくなります。
つまり、読者は続きが気になって、途中で読むことをやめるという選択をする可能性が低くなるという仕掛けになるわけです。
舞台はそこから一気に三年の時が経ちます。
主人公のあすかは、魔法少女だったころのPTSDに悩まされ、なかなか周囲と距離を縮められないのですが、たちの悪いおっさんからクラスメイトを助けたことで、居心地のいい場所を見つけることができ、単行本三分の一を読み終えて、ようやく笑顔が見られました!
クーデレかと思ったら、上品に笑う清廉潔白なお嬢様風女子高生に大変身しまして、もう私の心は完全に持っていかれてしましました。(私が漫画の中にいたら、彼女に「なぁスケベしようや」って口説くレベル!)
それからのあすかは、二度と魔法少女ならないという誓いを友人を守るために破るようになり、それが陸軍などの軍事機関に利用されるものに変わっていくようになります。
あすかさん、元々は家族思いの熱い女の子だったので、もう友人や仲間を守るために、力を使わざるを得ないけなげな女の子へと変貌を遂げます。
クーデレ→清楚美人→漲るパッション情熱ガール もはや出世魚レベルで属性をクラスチェンジしていく主人公です。
願わくば、このままあすかは日常の中に溶け込んでいて欲しいと思っているうちに一巻が終わっていきます。
想像以上にスピード展開ですが、それほど複雑な人間関係はまだ出てきていなかったので、割と読みやすい作品でした。
感想(魔法少女編)
今回の漫画紹介のまとめとして、私的魔法少女考察を行っていきます。
魔法少女は1960年代に『魔法使いサリー』が放送されたことを皮切りに、様々な魔法少女がに生まれてきましたが、今回の『魔法特殊戦あすか』の最も面白い点といえば、その制作人にあります。
まず、原作に『PSYCHO-PASS サイコパス』脚本で知られる深見真先生が携わっており、サスペンスやハード系を基調としつつ、キャラの個性や可愛さも忘れないメリハリあるストーリーが期待されます。
また、今回の作品は軍事設定協力として、萌えと各種戦闘機を結びつけた書籍で知られる軍事研究家の田村尚也先生を招いています。
えーと・・・これ、魔法少女ものだよね?
ということで、従来の魔法少女もののファンタジー要素に対して、ミリタリーサスペンスの要素を盛り込んだ作品ですので、『東京ミュウミュウ』とか『おジャ魔女どれみ』のようなゆるふわ可愛い系の魔法少女で物足りない方はぜひ読むべきです!
それにしても、ここ最近の魔法少女ものは、奇を衒ったものが多いように感じます。
漫画であれば、さきほどの『プリティ・ベル』もそうですが、『魔法少女・オブ・ザ・デット』の魔法少女+ゾンビというように、複数のジャンルを組み合わせたものが興隆してきます。
これは、90年代のセーラームーンなどのアニメでは既に始まっていた流れですから、これからもさらなる魔法少女が産声を上げることが期待できます。
そういう意味でこの『魔法少女特殊戦あすか』は新たなる魔法少女ジャンルの開拓につながっていると私は信じて次巻を待ちます
では最後に、この作品の帯には、あの虚淵先生がコメントを寄越していますので、ご紹介いたしましょう。
「魔法少女にこんな残酷な運命を背負わせるなんてひどいよ!あんまりだよ!」
ふぅ・・・お前が言うな!!(マミさん推しの心の叫び)
では、次回またお会いしましょう!
スポンサーリンク